2009年6月1日月曜日

似非エコノミスト

今日は授業と関係ないですが、重要なことを一つ。

2009年5月31日付の日本経済新聞の「経済論壇から」で東京大学教授の松井彰彦さんが「「世界大不況」時代の経済学」というタイトルで、経済学者が一般の雑誌などに寄稿した論文の内容を紹介しています。

そのなかで最近の不況を背景に、「経済や経済学に関する皮相的な理解をもとに、これまでの主張を大きく変え、にわかにケインジアンを気取ったり、まるでマルクス主義経済学者のように、資本主義批判を繰り返したりする論者も出てきた。」と述べています。

「経済や経済学に関する皮相的理解」って、大学の先生やエコノミストと呼ばれる人がそんな皮相的な理解をしているはずがない、と思う人がほとんどだと思いますが、現実はそうではないのです。

米国では大学の教員になるにはPh.D.(日本の博士号に相当)がまず必要ですが、日本ではそうではないのです。エコノミストに至っては、自分で名乗れば誰でもその日からエコノミストになれるのです。

大学の先生でも経済学が分かっていない人もいます。実際に学部レベルの教科書の知識で、本を何冊も書いている先生を私も知っています(経済学のフロンティアの研究は学部のレベルを超えたところにあるのです)。

ですから皆さんも「大学の先生だから」とか、「有名なエコノミストが言っていることだから」ということで、その人が書いたものを単純に信じてはいけません。

どの人の言っていることが正しくて、どの人の言っていることが間違っているか判断するのは結構簡単です。要は、自分の頭で考えてみることです。社会人になってだまされないように、大学生の間にこの訓練をしておきましょう。

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