2008年2月26日火曜日

G8サミットで日本に期待されているもの

今年の6月末から7月初めにかけて北海道洞爺湖でサミットが開かれますが、私たちが思っている以上にこのサミットは重要なものになるかもしれません。

2000年の沖縄サミットで、森首相が感染症対策を主要議題として取り上げ、その結果、2002年に世界基金(世界エイズ・結核・マラリア対策基金、Global Fund to FIght AIDS, Tuberculosis and Malaria)が設立されたことは有名です。日本が世界の開発問題に積極的な貢献をした1つの例だと思います。

今年のサミットでも、福田首相に開発の分野で大きな貢献が期待されていると考えるのは当然だと思います。日本は近年、財政赤字や国の債務を理由にODA予算を削減してきていますが、他の国にしてみれば、もうこれ以上は待てない、ODA予算を拡大してほしい、という気持ちがあるでしょう。

今や開発や貧困問題のactivistとなったU2のボノが作ったNGO(DATAという名前)のプレスリリースに、実際そのようなメッセージが載っています。ボノは福田首相とダボス会議で会ったそうですから、当然、日本の積極的な貢献への期待は福田首相に伝えられているでしょう。福田首相のイニシアチブに期待したいものです。
http://www.data.org/news/press_bonoJapanHeartWorldAffairs2008_012508.html




2008年2月14日木曜日

日本の援助は最低なのか?

米国ワシントンにあるCenter for Global Development(CGD)というシンクタンクでは、毎年先進国の援助の評価を行っています。この2007年の評価で日本は最低となっています。ちなみに最高はデンマークです。
http://www.cgdev.org/section/initiatives/_active/cdi/_components/aid/indicators/

日本の評価が低い理由として、経済規模に比べて援助の額が小さい(0.15%)、小さなプロジェクトが多いなどが挙げられています。評価できる点としては、ひも付き援助の比率が低い(8%)ことが指摘されています。

経済規模に比べて援助の額が小さいのはそのとおりで、北欧の国々は国民所得の1%程度を途上国への援助にあてています。

しかし、日本の援助プロジェクトの規模が小さいというのは、何か印象と違いますね。日本の援助というと、港湾施設や道路などのインフラが多い、という印象がありますから。

実は、CGDが評価のためのデータとして使用しているOECDのデータは、各先進国が自国の援助実績を報告したものをまとめているのですが、国によって援助プロジェクトの数え方(報告の仕方)が違うようなのです。

調べてみると日本の援助プロジェクトの最低額は10ドルです(2003年の実績)。1000円の援助って何よ?っていうことですよね。興味のある方は論文をご覧ください。

援助プロジェクトの数え方を先進国の間で統一するとともに、援助の評価方法の改善に向けて皆で取り組む必要があると思います。

2008年2月4日月曜日

資本主義と機会均等

今回のタイトルは、かなり大きなテーマなのでブログで取り上げるのは妥当でないと思いますが、考える第一歩ということでは良いのではないかと思います。

日本経済新聞の2008年1月30日、「私の履歴書 アラン・グリーンスパン」においてグリーンスパンは「資本主義が多量の富を生むのは間違いないが、公正に富が分配されていると人々が受け止めなければ、資本主義やそれを支える諸制度への支持は得られない。」と述べています。

この主張は「公正に富が分配されている」を、「公正に富を獲得する機会が与えられている」と換えたほうが良いと個人的には思います。グリーンスパン自身も本文の中で、公正な分配を実現する手段として教育を取り上げているので、「分配」という結果ではなく、「獲得する機会」のニュアンスで言っているのだと思います。

グリ-ンスパンの主張は、一国内でも地球全体の経済でも当てはまると思います。日本でも所得格差が問題になってきていますが、これは「親の所得」→「子供の教育」→「子供の所得」と世代間で所得格差が固定化してしまうことが問題なのだと思います。この固定化を是正するのは公教育の改善以外にないでしょう。

地球全体だと、もう少し問題は複雑で、途上国が富を獲得する手段は教育だけではなく、もう少しいろいろとあると思います。そうでなければ、何のための経済学か、ということにもなりますし。私自身は、教育に加えて、インフラ整備や幼稚産業保護は重要だと思います。この点に関しては、経済学者の中でも意見の分かれる点だと思いますが...