2008年4月8日火曜日

第1回授業のまとめ

履修生の皆さん、本日第1回目の授業の復習をしたいと思います。今日はRoslingさんとUNDPが一緒に作ったHuman Development Trends 2005のソフトを使って、世界経済の現状について勉強しました。

授業中に全ての内容は紹介できなかったので、是非自分でもこのソフトを使って勉強してみてください。実際、このソフトは自分で操作した方が感動します。

今日授業でやった中で、皆さんに最低限憶えておいてもらいたいことは、以下の3点です。
①2000年の時点で地球上60億人中、12億人の人が1日1ドル以下で暮らしている。
②1975年時点ではアフリカよりも東アジアの方が貧しかった。
③途上国内の所得格差は激しくて、例えばナミビアではもっとも豊かな20%の人々は日本より少し劣る所得水準(実質一人当たりGDP23,000ドル)であるが、最も貧しい20%はシエラレオネとおなじ所得(同409ドル)である。

もちろん、これ以外にもいろいろ重要なことはありますので、ソフトを動かして自ら勉強してみてください。

また、ミレニアム開発目標は世界的な目標なので、グローバル化時代の若者として、その存在といくつかの内容については把握しておいてください。

2008年4月4日金曜日

ODAは金額が問題なのか?

本日(2008年4月4日)の日経朝刊に「ODA3割削減、5位転落」という記事が出ていました。OECDがまとめた数値(暫定ですが)によれば、日本の2007年の政府開発援助(ODA)実績が、先進国中5位に転落したとのことです。日本は1990年から2000年までODA実績世界1位であったことを考えると、ずいぶんと後退したわけです。

もっと深刻なのは、「貢献度指数」というODAの支出純額を国民総所得(GNI)で割った指標が0.17%となり、ギリシアより低い20位となっていることです。国連では2015年までに、この指標を0.7%とする目標を掲げています。先進国は、この目標を達成しようと努力しています。日本だけが、国内の財政赤字を理由に、この先進国グループの行動から別行動をとっているわけです。

日本も先進国の一員として、0.7%の目標は達成しなければいけないでしょう(そうでなければ、G8サミットやTICADで誰も日本の話を聞いてくれないと思います)。

しかし、それと同時に(それよりも)重要なのは、出している金額だけでなく、ODAの効果を正しく評価することだと思います。いま、経済学の研究分野では援助の効果について、否定的な結論をだす論文がいくつも公表されています。

個人的には、全ての援助が無効であったとは思いません。良い援助と悪い援助があったのだとおもいます。各国政府および研究者は、どのような援助が失敗する確率が高く、どのような援助は成功する確率が高いか、科学的に研究し報告する義務があると思います。私も微力ながら、努力するつもりです。

ODAは皆さんの税金から支払われています。是非、皆さんも考えてみてください。

2008年3月7日金曜日

世界長者の運用益は途上国の国民総所得より上?

日本経済新聞(2008年3月6日夕刊)に2008年の世界長者番付の記事が出ていました。今年は、ビル・ゲイツ氏ではなく、投資家のウォーレン・バフェット氏が一番になったそうです。

バフェット氏の資産は620億ドル(米フォーブス誌調べ)だそうです。投資家だから運用はお手の物でしょうから、10%で運用できたとすれば、この資産で追加的に年間62億ドルの富を生み出せることになります。

この62億ドルがどのくらいかといえば、カンボジアの2004年の国民総所得(GNI)が48億ドル(世界銀行のデータ)ですから、それよりも大きいです。ちなみにモンゴルのGNIは15億ドルです。

10%の運用は多分、そんなに無理な話ではないでしょうから、一国全体の付加価値生産量よりもずっと大きな価値を一人の人間が生み出せるということですね。資本主義のすごさを実感しますね。

2008年3月3日月曜日

アイルランドに学ぶもの

日本経済新聞(2008年3月1日付朝刊)の「世界を語る」という特集で、前アイルランド大統領メアリー・ロビンソン氏(女性)との対談が掲載されていました。アイルランドは1980年代まで欧州で最も貧しい国の一つでしたが、2006年の一人当たりGDP(出所OECD)では、日本が3万4千ドルなのに対し、アイルランドは5万1千ドルと大幅に上回っています。

この秘密をロビンソン前大統領に訊く、というのが記事の主旨で、前大統領が指摘した点はいくつかありますが、私が要約すると①官僚制度の改革、②インフラの整備、③教育の充実、の3点が重要だといっているようです。

アイルランドは、この3つのほかにも④積極的な外資の誘致や⑤大量の外国人受け入れ、も行っています。

アイルランドは英国によって植民地にされた経験もあり、多くの途上国にとって参考となる経験を持っています。アイルランドが援助の出し手として、自らの経験をどのように活かしているのか大変興味深いです。

2008年2月26日火曜日

G8サミットで日本に期待されているもの

今年の6月末から7月初めにかけて北海道洞爺湖でサミットが開かれますが、私たちが思っている以上にこのサミットは重要なものになるかもしれません。

2000年の沖縄サミットで、森首相が感染症対策を主要議題として取り上げ、その結果、2002年に世界基金(世界エイズ・結核・マラリア対策基金、Global Fund to FIght AIDS, Tuberculosis and Malaria)が設立されたことは有名です。日本が世界の開発問題に積極的な貢献をした1つの例だと思います。

今年のサミットでも、福田首相に開発の分野で大きな貢献が期待されていると考えるのは当然だと思います。日本は近年、財政赤字や国の債務を理由にODA予算を削減してきていますが、他の国にしてみれば、もうこれ以上は待てない、ODA予算を拡大してほしい、という気持ちがあるでしょう。

今や開発や貧困問題のactivistとなったU2のボノが作ったNGO(DATAという名前)のプレスリリースに、実際そのようなメッセージが載っています。ボノは福田首相とダボス会議で会ったそうですから、当然、日本の積極的な貢献への期待は福田首相に伝えられているでしょう。福田首相のイニシアチブに期待したいものです。
http://www.data.org/news/press_bonoJapanHeartWorldAffairs2008_012508.html




2008年2月14日木曜日

日本の援助は最低なのか?

米国ワシントンにあるCenter for Global Development(CGD)というシンクタンクでは、毎年先進国の援助の評価を行っています。この2007年の評価で日本は最低となっています。ちなみに最高はデンマークです。
http://www.cgdev.org/section/initiatives/_active/cdi/_components/aid/indicators/

日本の評価が低い理由として、経済規模に比べて援助の額が小さい(0.15%)、小さなプロジェクトが多いなどが挙げられています。評価できる点としては、ひも付き援助の比率が低い(8%)ことが指摘されています。

経済規模に比べて援助の額が小さいのはそのとおりで、北欧の国々は国民所得の1%程度を途上国への援助にあてています。

しかし、日本の援助プロジェクトの規模が小さいというのは、何か印象と違いますね。日本の援助というと、港湾施設や道路などのインフラが多い、という印象がありますから。

実は、CGDが評価のためのデータとして使用しているOECDのデータは、各先進国が自国の援助実績を報告したものをまとめているのですが、国によって援助プロジェクトの数え方(報告の仕方)が違うようなのです。

調べてみると日本の援助プロジェクトの最低額は10ドルです(2003年の実績)。1000円の援助って何よ?っていうことですよね。興味のある方は論文をご覧ください。

援助プロジェクトの数え方を先進国の間で統一するとともに、援助の評価方法の改善に向けて皆で取り組む必要があると思います。

2008年2月4日月曜日

資本主義と機会均等

今回のタイトルは、かなり大きなテーマなのでブログで取り上げるのは妥当でないと思いますが、考える第一歩ということでは良いのではないかと思います。

日本経済新聞の2008年1月30日、「私の履歴書 アラン・グリーンスパン」においてグリーンスパンは「資本主義が多量の富を生むのは間違いないが、公正に富が分配されていると人々が受け止めなければ、資本主義やそれを支える諸制度への支持は得られない。」と述べています。

この主張は「公正に富が分配されている」を、「公正に富を獲得する機会が与えられている」と換えたほうが良いと個人的には思います。グリーンスパン自身も本文の中で、公正な分配を実現する手段として教育を取り上げているので、「分配」という結果ではなく、「獲得する機会」のニュアンスで言っているのだと思います。

グリ-ンスパンの主張は、一国内でも地球全体の経済でも当てはまると思います。日本でも所得格差が問題になってきていますが、これは「親の所得」→「子供の教育」→「子供の所得」と世代間で所得格差が固定化してしまうことが問題なのだと思います。この固定化を是正するのは公教育の改善以外にないでしょう。

地球全体だと、もう少し問題は複雑で、途上国が富を獲得する手段は教育だけではなく、もう少しいろいろとあると思います。そうでなければ、何のための経済学か、ということにもなりますし。私自身は、教育に加えて、インフラ整備や幼稚産業保護は重要だと思います。この点に関しては、経済学者の中でも意見の分かれる点だと思いますが...